さて、本年は本当にめまぐるしく環境が変わった年でした。
ある人は職務内容が大きく変わった仕事に振り回され、ある人は身内が亡くなり、
ある人は度重なる病気と怪我に悩まされ・・・・・・
こう書くと本当に、とんでもなく忙しない年でした。
しかしそんな中で、二章公開の準備も少しずつ、静かに進めておりました。
じゃあなんでこんなに遅いのさ?という声はごもっともなのですが、
その理由はといいますと・・・
・現在製作メンバーの仕事が込み入っているため
・ゲームであることと作品の方向性の両立で悩んでいるため
主にこの二つですね。
一つ目の理由は、社会人としてはどうしようもないことなのでさて置いて・・・
原画・ライターと、二つ目の理由についてかなり協議を重ねておりました。
意図的にサーチエンジン等の更新を止めているので、
今このページを見てくれている方はとても少ないと思うのですが、
ここから先の二話以降を公開すると、一時的かどうかはともかく、
当然もっと多くの人の目に触れる可能性が増えるわけです。
なので、なるべく方針がブレないよう固めておかねばと思っているのです。
で、何に悩んでいて、どういった協議を重ねているかと言いますと、
ずばり「ゲーム性を取るかストーリー性を取るか」なのです。
更に言えば、選択肢をどうやって入れるかです。
たとえば主人公について。
「朱鞘の熾」は、製作方針のページで度々告知している通り、
主人公とプレイヤーは別個の存在となっている物語です。
一応、「どうしても名前を変換したい」という人のために名前変更機能があります。
この機能、企画を始めた当初はちゃんとした(?)乙女ゲーの方向で進めていたため、その名残で・・・というのもあるのですが、
主人公には極力現実にありそうな名前を使いたいというライターのこだわりがあり、
「須藤朋枝」はおそらく同姓同名の人間が存在しているだろう名前ですので、
万が一それが「こいつクラスの嫌なやつやん」みたいなかぶり方をした際に変えられるように・・・くらいのゆるーい気持ちで存在しております。
しかしこの機能があるゆえに、
「一応乙女ゲームとして作っているのだから・・・」といった意見がちらほら出てきそうなシーンに発展しそうになった際、
朋枝を「乙女ゲーの主人公」にするのか「ADVゲームの主人公」にするのかで迷い、
ライターがうまくシナリオを回せないという状況があったりするのです。
何度も言うようですが、事前告知している通り、
「朱鞘の熾」は「≠乙女ゲーム」であり「≒乙女ゲーム」です。
最近は主人公に個性がある乙女ゲームも増えてきましたが、
そういったゲームでも冒してはいないラインを、
おそらくは飛び越えていく作品になるだろうと思っています。なので、
「女性向けとは何か、この作品でそれを名乗ることは正しいのか」
を、これまでも幾度となく議論してまいりました。
結局「女性向け」といっていいのか微妙なラインであったため、
朱鞘のジャンルを「和風伝奇ADV」としているのですが・・・。
で、この「乙女ゲーム」において、もっとも厄介なのが「選択肢」の存在だったりします。
しかも朱鞘は、共通ルートを一話ずつ配布するという特殊な形式上、
いわゆる「好感度上げorルート分岐のための選択肢」を作ることができません。
なので自然と、ちょっとした分岐(誰と一緒に行く?,誰の意見に同意する?etc)が主になってきます。
しかしながら、朱鞘においてこれは致命的な弱点を抱えているシステムになっているのです。
そもそもこの分岐、下手な書き方をすると、主人公がものすごくブレたキャラになります。
実はそういう理由で、もう何度もシナリオを没にして書き直しているんです。
体験版をプレイしてくださった方ならなんとなくお分かりいただけると思うのですが、
主人公の朋枝は、たとえば左近や齋がちょっと優しい態度を取ったくらいでは
「やだ・・・かっこいい・・・(キュン)」となってくれるようなキャラではありません。女性向けらしからぬことに(笑)
かといって、ミステリーのような選択肢の分岐を作ると、
「主人公」という立場上、攻略対象たちより見せ場が多くなり、
結果として「男ども不甲斐ないなこれ・・・」という悲しい状況が生まれてしまうのです。
こいつら引き立て役やん・・・的な・・・うん・・・ \キャートモエサーン!/\ダイテー!/
結果として、
「選択肢によっては朋枝が賢くなったりアホになったり激しいねこれ・・・」
「朋枝のキャラがブレッブレでどんどん動かしにくくなる・・・」
という、なんとも言い難いシロモノが出来上がるしかなくなってしまい・・・
それを打開するためにはどうしたらいいかを探っていた結果、
シナリオを相当数書き直して方向性を探ってみたものの、
どうにもこうにも上手い具合に選択肢がかみ合わず、
時間だけが消費されていくという空しいことになってしまったのです。
「そんなん先に決めておけよ」という声もありそうですが、言い訳させてください。
決まってたんですよ!最初は!!←
ぶっちゃけた話、一番最初にこの企画を作り始めた頃は、
こんなにも思い入れて作るゲームにするつもりはありませんでした。
もっとよくある(というとアレですが)乙女ゲームの延長で、
和風恋愛モノとかいいよね!みたいなノリでさっくり作る予定でした。
朋枝の性格ももっと乙女ゲームの主人公していて、
ライターもそのつもりでサクサク書いていたんです。
その当時から大分方向性が変わってしまったので現状にいたるのです・・・。
しかし悩んだ甲斐あって、今年中に結論を出すことができました。
今後どこかで改めて告知をする可能性もありますが、
本年中にひとまずこちらで書かせていただきます。
朱鞘の熾は、共通ルートのお話に選択肢を作らないことにいたしました。
本当に、とても長いこと悩みに悩み、
ライターには何度もシナリオを書き直してもらい、
蓮田も交えて何度も意見を交換しましたが、
ゲーム性よりもストーリー性を取ることにいたしました。
また、この方が共通ルートの公開速度をより高めることができるという
現状の停滞を鑑みての判断にもなります。
ということで、共通ルートは選択肢なしのビジュアルノベルのような形になりますが、
キャラクターの性格や行動にブレを出さず、
個別ルートまでの道のりをより短くするためと思ってご了承いただけますと幸いです。
(個別で選択肢がなくなることはありえない、とライターが断言しておりますので、そこに関しては全く心配ないと思われます)
さて、本年も残すところわずか。
この方向性が一体どう転がってゆくのか皆目見当もつきませんが、
せっかくフリーゲームという、お金を要求するでもなく誰かに強制されるでもない、
自由に作りたいものを作ることができる場を選んでいるのだから、
これからも自分たちが一番納得のいく形で作ってゆきたいと思います。
ここまで読んでくださった方、本当にありがとうございました。
来年もよろしくお願いいたします!